拡幅車

特長と先進技術

■ 自己保持機構

一体姿勢を維持

自己保持機能により拡幅部が垂れ下がることなく車体と一体姿勢を維持するための支柱(ジャッキ等)に頼ることなく設営が可能です。


多様な地形に対応可能な自立型拡幅構造

拡幅側が崖や側溝、法面、瓦礫上、ぬかるみ、沼、ガードレールや片側一車線道路等、厳しい設置条件下でも考えることなく安全かつ迅速に展開し活動できます。


ボタン操作で拡幅完了

ボタン1つの簡単操作で、1人でも3分以内に拡幅作業が完了します。ジャッキでのレベル調整も不要です。


拡幅状態での微速移動を実現

拡幅状態のままでも方向転換を含む微速移動が可能です。そのため、拡幅ボディを開いたままでも容易に場所を移動できます。


雪上運用を想定したルーフ融雪技術の検証試験

FRPルーフ内に装着した融雪シートの実証試験。
車両:総務省消防庁の拠点機能形成車

・積雪試験開始(積雪4㎝)
・拡幅側の積雪シートをONにして、1時間30分後に完全融雪。

一体成形FRP構造による耐久性とメンテナンスフリー

総FRPボディは、高い剛性、断熱性、防食性を持ち、電波減衰も少ない軽量設計です。ルーフは継ぎ目のない一体成形で、雨水の浸入を防ぎ、定期的なメンテナンスも不要です。

・FRP一体成形キャップ型ルーフパネル

拡幅車両の進化

■ 拡幅車のあゆみ:革新と貢献の歴史
2002年頃から拡幅車両の商談が増え始め、弊社はいち早く開発に着手しました。2005年から2007年には自治体や放送局から計5台の拡幅車両を受注し、両側拡幅や片側タンデム拡幅といった新分野のノウハウを確立。当初の拡幅機構は床に段差が生じるものでしたが、現在はポップアップフロア機構で平面な床を形成するカプセル式拡幅車両に進化しています。

2010年、弊社はカプセル式の拡張型支援車I型47台を総務省消防庁に納入し、これらは各都道府県に配備されました。直後に発生した東日本大震災では、ほぼ全数の支援車が被災地に集結し、緊急消防援助隊の活動を支援しました。(画像:被災地で活動する支援車I型)

2013年、拡幅部の床と壁を折り畳むパネル式の拡幅機構を開発。これを「車両本体部の床前面に荷物を積載できる拡幅車両」として総務省消防庁に提案し、昨年までに全国で30台を納入しています。(弊社が称する折れ床パネル式拡幅車両です)

拡幅ボディを閉じていても後部扉から荷物の積み降ろしが可能です。
荷物を降ろしたあとは目的に合わせて自由に使えます。
(床面積約45㎡)
岩手県久慈広域連合消防本部が制作した拠点機能形成車の紹介動画です。動画は約1分34秒から当社の拡幅車両について紹介しています。再生ボタンを押してご覧ください。
2019年には、東京消防庁が発案した世界初の左右2段式高機能指揮支援車を開発・納入しました。これは2020年東京オリンピックのマラソン競技における熱中症患者の救護用で、総床面積約79㎡を誇る唯一無二の車両です。

【動画】両側各2段拡幅車:外観動画
【動画】両側各2段拡幅車:360°の室内動画(動画上をマウスでドラッグすると上下左右見渡すことが出来ます)
■ 拡幅車両の開発・製作・納入の実績
弊社は、拡幅車両の開発に20年以上取り組んでおり、現在まで消防庁、国土交通省、警察庁をはじめ、全国各地の官公庁や企業へ各種拡幅車両を納入してまいりました。以下はその一例です。

2018年 4代目の東京消防庁スーパーアンビュランス
2019年 東京消防庁指揮統制車
2019年 新関西空港現場調整車
2019年~ 国交省各地方整備局対策本部車
2017年 警察庁事件対策車
2018年 警視庁移動指揮官車
2021年 中国電力ネットワーク災害復旧指揮車
2019年 さいたま市消防局支援車Ⅰ型
2022年 国交省北海道開発局対策本部車
■ デモ車・両側拡幅トレーラーの活躍
自然災害時における避難困難者(寝たきりの方、妊婦など)のために、「避難弱者一時救護所」として、トレーラータイプの両側拡幅車両を所有しています。総床面積50㎡の室内には、7床の折り畳み処置台に加え、発電機(7kVA)3基と大型冷暖房機2基を装備。
内装は惨事ストレスを軽減する色彩で、東京国際消防防災展での出展時には、その必要性が高く評価されました。さらに、2024年の能登半島地震では第一実業株式会社様のご厚意により、石川県医師会に2ヶ月間無償貸与され、感謝状を授与されています。

技術開発/拡幅技術

■ 高精度な拡幅展開を支える「自己保持機構」
ヨコハマ・モーターセールスの拡幅車両には、展開時の自立性と一体性を両立させる独自の「自己保持機構」が装備されています。
この機構により、車体と拡幅部が常に一体性を維持して動作するため、ジャッキによるレベル調整が不要です。ボタンひとつの操作で、約2〜3分以内に安全かつ確実に設営が完了します。

■ 傾斜地でも安心の運用性能
運用中に地盤が沈下したり、傾いた場合でも、拡幅部は本体と一体で傾斜する構造のため、拡幅部と本体が歪んでしまうことはありません。
これにより、ウェザーストリップにかかる負荷を抑え、耐久性と防水性の維持、そして安定した運用が可能になります。
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■ 2種類の拡幅方式とその特徴
当社では用途に応じて、以下2つの拡幅方式を開発しています。

・カプセル方式
箱型のボディがスライド展開し、室内空間が拡張。拡幅後の段差は、床下に格納されたパネルを持ち上げて平面化します。

・折れ床パネル方式
側壁とルーフをそのままスライドさせつつ、床と前後壁を折り畳み状態から展開。荷物を載せたままでも拡幅・収納が可能です。

■ 操作の簡便性と設営自由度
すべての操作はワンタッチで完結し、ジャッキも不要なため、知識や人手を問わず誰でも短時間で展開可能。さらに、拡幅状態でも低速での車両方向転換が可能なほどの高い剛性を備えています。
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