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お客さまの求めるクルマを設計し、
熟練した職人とともに創り上げる。
ミニマムな会社の、マックスなやりがい。

営業技術/近藤 友紀[こんどう・ともき]

1991年生まれ。2012年私立大学工学部卒業。2013年入社。
先達の熟練した技術とノウハウを最大限に活かして、消防車その他特装車の設計、製造管理業務に携わる。

はじめは無口で無愛想な職人さんたちが怖かった。

 日創工業では比較的小型の消防車と大型建機のメンテナンス用サービスカーなどを製作しています。社員は現在、事務・技術系の職員が3名、現場の製造職4名という構成で、僕を含めた技術職は設計と製造管理等を担当。実際の製作作業は経験豊富な先輩の製造職員や協力会社の職人さんに依頼しています。
 消防車の機能や装備は、この日本に全く同じ消防車は1台もないといっていいほど多種多様です。その一番の理由は活動する地域環境の違いにあります。例えば、都市部と山間部とでは想定される条件は大きく変わるので、違った要求が生まれてくるというわけです。僕たち技術職は、お客様の要求にお応えするために、細部〜全体の構想を描き、職人さんたちに実作業をお願いします。この時の指示や伝え方が不正確だと出来上がりに影響します。だから彼らとのコミュニケーションは非常に大切なのです。
 でも職人さんというのは、ご想像通り無口で、愛想がなくて、しかも人によっては自分の父親よりも高齢であったりします。入社して間もない頃は、緊張しましたね。みんな忙しそうで、話しづらかったので、一度勝手にひとりで部品を作ってしまったことがありました。結果は見事失敗。さぞ怒られるだろうと思ってびくびくしていると、ひとりの職人さんが失敗の原因を丁寧に教えてくれた上で「なんでも相談に乗るから遠慮しないで、気軽に声かけてよ」と肩を叩いてくれました。

実は優しい職人さんたちの力を結集して、
最高の仕事を目指す。

 その後、僕は試行錯誤を重ねながら、この会社のモノづくりのシステムに段々と慣れていきました。そして入社6年目。初めて1台丸ごと作る仕事を任されました。「災害対応型多機能消防車」といって、特殊な機材をたくさん積んだ「救助と消防」を兼ねた車で、私にとってはかなり難易度の高い案件でした。僕はお客さまの期待に応えるため、次のような工程で仕事を進めました。

  1. 遠方のお客さまのところまで出向いて、ご要望を詳細にヒアリング。
  2. 細部〜全体の構想を描いて、その時点で製造上の課題を抽出する。
  3. 職人さん全員にお客さまの要望と自分の構想を伝える。制作上の課題についても全員で共有する。
  4. 課題の解決方法について担当分野の職人さんと綿密に相談。
  5. ④を反映して設計図を作成。同時に可能なところから作業に着手。
  6. ⑤の設計図をお客さまにご覧いただき、ご意見・ご要望を伺う。
  7. ⑥の結果をフィードバックして、作業内容に反映させる。
⑥と⑦辺りを繰り返して、お客さまと何度もやり取りをしながら、約10ヶ月をかけて完成。納車に至りました。

職人さんたちに助けられ、
お客様からお褒めの言葉をいただいた。

 この車に期待されるのは、まず第一に限られた車体のキャパシティの中に指定された機材を全て積み込むことですが、火災現場でいざ使おうとした時にすぐに取り出せるといった使いやすさも重要です。機材によって使う順番や頻度が異なるので、ただ入ればいいというわけではなくて、それぞれにあった最適な場所と収納方法を考える必要がありました。その辺りについても僕は職人さんたちとよく相談し、全員が納得する完成度を目指しました。
 その甲斐があって、納車してから数日後、車を模擬使用したお客さまから「とても良くできてましたよ」と、お褒めの言葉をいただきました。初めての大仕事は職人さんたちのおかげで、二重丸を頂戴しました。僕はこの会社に入って、この仕事をやらせていただいて本当によかったと思っています。

職人さんの知識・経験という貴重な財産を
未来につなげる方法。

 入社後約10年経って、今や職人さんたちとは「気心の知れた」といっていい関係になり、仕事は順調です。将来の目標は、消防車以外で設計から完成までを請け負う仕事をしたいと思っています。サービスカーでもやってみたいことがたくさんあって、例えば現在積んでいるコンプレッサーだとパワー不足で使えない作業工具がありますが、これを解決する車をぜひ作ってみたいと思ってるんです。
 こうした日々の業務とは次元の違う長期的な課題もいくつかあります。まずは最近自動車のEV化が進んだり、新しい機能がどんどん増えているので、こうした最新技術が今後自分達の業務にどんな影響があるのかを探り、対応方法を考えたいと思っています。そしてもうひとつ気がかりなのは、職人さんたちの高齢化ですね。このままだと彼らの持っている知識やノウハウを誰も未来に継承できません。若い人を育てるか、知識やノウハウをどうにかして社内で共有する方法を模索するか、道筋をつける必要があります。どちらも簡単に答えは出ませんが、現在多くの産業が多かれ少なかれ共通した悩みを抱えているわけで、いわば日本全体の問題ともいえます。
 まだ三十を過ぎたばかりの僕が、そんな壮大なテーマに腰を据えて取り組んでいけるのは、考えようによってはとても光栄なことだと思います。1台1台を精魂込めて作りながら、未来につながる答えを探していきたいと思っています。

休みの日は目的なく車を走らせて頭を空っぽにする。趣味は読書。純文学やミステリーを電子書籍でなく紙の本で読む。今ハマっているのは恩田 陸という作家のミステリー。


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